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届けられなかった「#保育園入りたい」の声

2018年3月 9日

 国会に提出された森友文書の「改ざん」疑惑。

 この事実関係の解明は、今後のあらゆる国会審議の土台の回復に必要不可欠です。

 国会で質問にたつとき

 「役所が出してきた書類は改ざんされていないか。」

 「この大臣は改ざんされた書類をもとに答弁しているのではないか。」

 こんな疑惑を抱えたままでは、まともな国会質疑など不可能。

 だからこそ、財務省のゼロ回答のままでは、国会審議に応じられない。

 ということで、今日(3月9日)の本会議は欠席となりました。


 一方、今日の法案は「子ども・子育て支援法改正案」。

 政府与党が「改ざん」疑惑解明のためになすべきことをなせば、しっかりと本会議に出席し、私は代表質問に立つ予定でした。

 今国会スタートしたときから、たくさんの保護者・保育士・研究者の皆さんと話し合い、今届けるべき声と政策を凝縮して訴えるつもりでしたが、残念です。


 森友問題から逃げまくる政府与党の責任で、

 本会議場で届けられなかった

 「保育園入りたい」の声

 そしてその声を「保育園入れた!」に変える政策を

 ブログでお伝えし

 今後委員会などを通じて、120%努力していきます。


 以下、読むことができなかった「代表質問」をアップします。


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 立憲民主党の山尾志桜里です。


 子どもたちのため、子どもを持つ親たちの思いにこたえるため、立憲民主党・市民クラブを代表して、「子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案」について質問します。


 2016年2月29日、「保育園落ちた」のブログをきっかけに待機児童問題が政治課題の中心に浮上し、いまもなお中心にあり続けています。

 待機児童を増やしたまま、幕引きしないでほしい。

 この2年間の、当事者のひたむきな活動があってこそです。

 「保育園落ちたの私と私の仲間だ」との27,682名署名、さらに前向きなメッセージを伝えたいと、「#保育園に入りたい」「保育園!私たち声を上げます!」「パワーママプロジェクト」「私たちの保活ストーリー」など活動は広がっています。

 人生で最初に受け取る手紙が「保育園の不承諾通知」、そんな社会を変えようとがんばる当事者の声に耳を傾け、よりよい法案にするため質問・提案いたします。


<協議会を規制緩和の隠れ蓑に使ってはいけない>

 そもそも、今回の改正案は、「規制改革推進会議」の答申に基づいて作られました。なぜ待機児童解消の議論の場が「規制改革推進会議」なのでしょうか。なぜ、子どもの命と育ちの問題が、電波規制改革や林業規制改革との3点セットで議論されるのでしょうか。

 安倍政権は、待機児童問題を規制緩和の応急措置でごまかそうとしていませんか。

 具体的に申し上げます。

 改正案の附則14条4項には、都道府県が市区町村と協議会を組織できるとされています。この協議会が、保育に関する市区町村独自の上乗せ基準を、都道府県単位の平準化という名目で、国基準まで引き下げさせる会議体として利用されることを強く懸念します。

 この懸念をもたらす2つの明確な根拠を申し上げます。

 第一に、この答申に書いてあります。

 「上乗せ基準の設定が待機児童の偏在化を助長することのないよう、上乗せ基準を検証する」との記載です。

 待機児童を助長してきたのは、見て見ぬふりで予算をつけずにきた国の責任であって、子どもの命のために上乗せ基準を設定してきた自治体ではありません。

 責任転嫁はやめていただきたいと思います。

 第二に、安倍政権は国基準への引き下げの規制緩和をすでに、直接市区町村に要請し、そして失敗しています。2016年4月からの要請に対し、「幸い」、あまりにも無責任なこの要請に応じた市区町村は現在に至るまでゼロと聞いております。直接要請して失敗した規制緩和を、東京都を含めた都道府県をかませることで巻き返しを図る法案であればその後押しはできません。

 毎年保育死亡事故は少なくとも10数件起きており、2016年には13人の命が失われています。人員配置や面積基準を緩和することで、なくなる命があるのです。だからこそ、それぞれの自治体は、市民や議会や首長が、待機児童に悩みながらも、子どものための基準をつくり、持ち出しの予算を負担しながら努力しているのです。国の要請に応じて基準を下げ、万が一保育事故が起きても、「国は要請しただけで強制したわけではない」。こんな弁解がまかりとおる「要請」という名の規制緩和はやめていただきたい。

 そこで松山大臣に質問です。

 この協議会において、市区町村の上乗せ基準を国基準まで引き下げさせる取り組みをする可能性はあるのか、ないのか、明確にお答えください。

 また、すでに全都道府県において設置すみの「地方版子ども・子育て会議」を通じて市区町村との連携は十分可能であるにもかかわらず、規制緩和の隠れ蓑以外に、重複して同じような会議体を作る必要があるのならその理由をお答えください。

 そして、なにより、規制緩和で、面積基準がさがり、人員配置基準がさがれば、保育士1人あたりの負担はますます増え、そのことが保育士離職を加速化する懸念について、どう払拭するつもりですか。お答えください。


<32万人の受け皿追加では待機児童は解消できない>

 つぎに、待機児童解消のための目標設定の誤りを指摘したいと思います。

 安倍政権は昨年、2017年度末までに待機児童ゼロと自ら掲げた目標を断念し、現在では期限を3年先送り、2020年度末までに32万人の受け皿を作って待機児童ゼロを目標にしています。

 待機児童解消を掲げながら、現実には3年間待機児童数を増やし続け昨年には26081人と最高値を更新してしまった責任を真摯に受け止めるのであれば、「32万の受け皿では足りません」という当事者・研究者の声に耳を傾けるべきです。

 政府試算は、未就学児童数に利用申込率をかけてニーズを導きだしています。したがって、「申し込んでも確実に落ちるので最初から申し込まない人々」は完全に除外されています。

 2017年の野村総研の調査では「保育所の利用希望がかなわなかった」家庭の約4割は「そもそも申込みを行わなかった」家庭です。さらに、その理由の4割が「どうせ無理だろうと諦めた」家庭です。「ポイントを計算してみたら、フリーランスの自分では絶望的だった」「保育課に聞いてみたら、あ、それは無理ですねと言われた」私たちが聞いている当事者の声です。

 政府の「規制改革推進会議」の座長代理すら「なかなか当たらないから、最初から申し込まない人が非常に多い」と発言しています。

 一定の要件を満たさない家庭には保育園に入れるチャンスはほぼゼロ、こういう客観状況を政府自らがつくっておきながら、「チャンスがゼロでも申し込め」というに等しい試算でニーズを小さく見せるのは無責任です。

 また、加藤厚労大臣自ら「市区町村において、申込にまで至らないようなケースも含めた保護者の意向を丁寧に確認してほしい」と答弁しているではありませんか。市区町村には申込まで至らない潜在ニーズを把握しろといい、国のプランでは排除する。あまりにご都合主義で、筋がとおりません。

 未就学児童の数570万人。育児をしている女性の予想就業率73%。共働きの場合でも保育サービスを希望しない割合は9%。こういった数字を使い現実に即したニーズを試算すれば88万人分必要との調査もあります。

 加藤大臣にうかがいます。改めて、32万人という政府試算を見直すつもりがあるのかどうか、見直さないのであればなぜなのか、説得的に説明してください。


<「無償化」より「全入化」が先!>

 さらに、32万の受け皿づくりでは待機児童ゼロにならない新たなファクターを安倍政権自らが作り出しています。待機児童問題を悪化させながら、今度は無償化にお金を使うという、順番を誤った政策判断です。 

 この点に関連して、質問します。

 現在の待機児童ゼロプランは、教育無償を打ち出す前に試算したものです。しかし、加藤厚労大臣は「無償化しても待機児童への影響はそう大きくない。影響を加味してプランを見直す考えはない」と答弁しています。

 加藤大臣にうかがいます。

 無償化したときの待機児童数の変化は試算したのですか。

 試算したのであれば、その結果をお答えください。

 していないのであれば、していないのになぜ「影響はそう大きくない」と断言できるのか根拠をお答えください。


 無償になればニーズは増えます。

 ニーズが増えれば、待機児童は増えます。

 そして、その影響を無視すれば、待機児童問題はさらに悪化します。

 なぜ、社会の常識が安倍政権には通じないのでしょうか。


 大阪府守口市では2017年4月から未就学児全員を対象とする保育無償をはじめました。17年4月の待機児童は前年と比べて約2.8倍です。兵庫県明石市も第2子以降の保育無償をはじめました。17年4月の待機児童は前年とくらべて約倍増です。地域の真摯な取り組みから、学ぶべきを学んでください。

 そして、一部のメディアでは、無償化の財源負担につき、「私立は国、都道府県、市町村で2対2対1、公立は市町村全額が軸」との報道がありました。

 負担が増えるのであれば、当然各自治体は待機児童解消分の予定財源を無償化負担に回さざるをえなくなります。無償化が待機児童解消の妨げになるのです。自治体負担増を否定せずに、待機児童数への影響だけ否定するのは無責任です。

 松山大臣、無償化の財源につき、市区町村の負担が増える可能性が現時点であるのか、ないのか、お答えください。


 また、多くの親たちが求めているのは、保育の質を守り、預け先を確保することです。いまも「無償化より全入化」「子どもたちのために間違いを正す公約違反なら大歓迎」という声がたくさん届けられています。そこで、教育無償の範囲を議論する会議体などを利用して、総理が公約した無償化期限の見直し・先送りも議論したらどうでしょう。誤りは率直に認め、メンツよりも子どもを大事にする姿勢は、評価されこそすれ、非難はされないと思います。お考えをうかがいます。



<月額10万4000円の給与ギャップ>

 あらためて、待機児童問題解決の王道は保育士処遇の改善です。

 2月28日に発表された賃金構造基本統計調査によれば、保育士処遇と全産業平均との差はなお10万4000円も開いています。

 この差額をせめて半減しようと保育士給与を一律月額5万円あげるためにかかる予算は年間で約2510億です。

 月額5万円の安定一律増額をきちんと保障する政策を打ち出せば、80万人を超える資格をもった潜在保育士の方々が保育の現場に戻ってくる、親になった保育士さんも家計を維持しながら保育士を続けられる。

 この抜本的な取り組みなしに、待機児童解消は実現できません。


 加藤大臣におたずねします。

 現在行われている処遇改善策は、対象保育士に「キャリアアップ研修」の受講を求めています。そもそもこの研修科目として定められた8科目を全科目実施できている自治体はいくつあるのですか。

 保育士不足を放置したまま、研修を求めても、代替の保育士がいないので研修に行けない状況が生まれていませんか。

 また7年以上のキャリアを持つ保育士を給与アップの対象にしても、そもそも給与が低くて7年間保育士を続けられないという現実が見えていますか。

 当初からこのことを指摘してきましたが、最近若手の保育士にも分配できる方針が打ち出されたと側聞します。いかなる方針なのでしょうか。全体のパイを広げずに対象だけ拡大することで、本当に効果があがるのですか。



<「待機学童」にも目をむけよう>

 最後に、いわゆる「待機学童」問題について質問いたします。

 子どもの成長は早く、子育て家庭の悩みは子どもの成長とともに変化します。

 子どもが小学生になったとき、働く親を直撃するのは、放課後や夏休み中の子どもの居場所の問題です。

 放課後児童クラブを希望しながら利用できなかった待機学童数は、厚労省の資料によれば2017年5月現在で17170人と計算されています。

 子どもが就学前であっても、小学生になっても、「安心できる安全な預け先を願う」親の思いは変わりません。

 にもかかわらず、安倍政権は、この「待機学童」問題でもなお、規制緩和での解決に依存しようとしています。「地方分権の議論の場」という器を利用し、2015年にようやく策定された指導員の「資格」と「配置」に関する「従うべき基準」を、2018年度中にも「参酌すればよい基準」へと緩めることを検討しています。

 お尋ねします。安易な規制緩和、とりわけ子どもと接する専門的職業の要件緩和には慎重であるべきです。この議論の場に保護者当事者を代表できる委員は入っているのでしょうか。「参酌化」とは何を意味するのでしょうか。なぜ、決めたばかりの基準について、現場の変化や課題を十分検証する期間すらあけず3年後にも緩和することを急ぐのでしょうか。

 

 そろそろ、子育て政策における場当たり的な規制緩和は、課題解決をより困難にするという現実に気づいて、方針を転換するときです。


<さいごに>

 子どもを持つ親の声を聴いてください。

 子どもを預かる現場の声を聴いてください。

 当事者の皆さんが議員会館などで開くいくつもの素晴らしい集会に与党の皆さんもぜひいらしてください。

 必要な子育て政策を実現するためなら、野党の私たちも協力を惜しみません。

 私たち立憲民主党は、これからも、当事者とつながり、子育て政策を建設的にリードしていくことを約束して、私の代表質問を終わります。